【図解】AWSのDBサービスについて種類・特徴・利用シーンを徹底解説

目次

本記事の内容

本記事では、初めてAWSのDBサービスを扱う人やAWS認定資格取得を目指す方向けに、AWSにおけるDBサービスの基礎知識を解説します。

本記事で分かること
  • AWSのDBサービス一覧
  • 各DBサービスの特徴・選び方
  • 利用シーン

AWSにおけるDBサービスの全体像

AWSが提供するDBサービスの種類

AWSは様々なユースケースに対応できるように、複数のデータベースサービスを提供しています。ここでは、主要なサービスの特徴と活用シーンを詳しく解説します。

カテゴリサービス名説明
リレーショナルデータベー(RDB)①Aurora高い可用性とスケーラビリティを持つリレーショナルデータベースで、MySQLおよびPostgreSQL互換。
②RDS複数のリレーショナルデータベースエンジンを管理し、簡単にデプロイ、スケーリング、バックアップができるサービス。
③Redshift大規模なデータウェアハウス向けに設計された、高速なクエリ処理を提供する分析データベース。
NoSQLデータベース
(キーバリュー型)
④DynamoDBルマネージドのNoSQLデータベースで、スケーラブルで高性能なデータストレージを提供。
インメモリデータベース⑤ElastiCacheアプリケーションのパフォーマンスを向上させるために、メモリ内データストアを提供するサービス。

【補足①】リレーショナルデータベース(RDB)とは

表形式でデータを管理し、表と表の間に関連性を持たせることができるデータベースです。家族の住所録や通販サイトの注文履歴など、きちんと整理された形式のデータを扱うのに適しています。

リレーショナルデータベースの特徴
  • データの整合性
    • 外部キーや制約によってデータの一貫性が保たれ、誤ったデータの入力や関係の不整合が防止されます。
  • 複雑なクエリの実行
    • SQLを使用することで、複雑なデータ取得や操作が容易になり、多様なデータ分析が可能です。

【補足②】NoSQLデータベース(キー・バリュー型)とは

NoSQLデータベースは、従来のリレーショナルデータベースが持つスキーマ(構造)やSQL(Structured Query Language)に依存せず、さまざまなデータモデルを支持するデータベースです。

この内キー・バリュー型のデータベースは、データを「キー」と「バリュー」のペアで保存するシンプルな構造を持つNoSQLデータベースの一種です。各キーはユニークで、対応するバリューには任意のデータ(文字列、数値、オブジェクトなど)を格納できます。

NoSQLデータベース(キー・バリュー型)の特徴
  • 高速なデータアクセス
    • キーを使用して直接バリューにアクセスできるため、検索や取得が非常に迅速です。
  • 柔軟なデータ管理
    • スキーマがないため、データの構造を自由に変更でき、異なるデータ型を同じデータベースに保存することができます。

【補足③】インメモリデータベースとは

通常のハードディスクではなく、メモリ(RAM)上にデータを保存することで、超高速なデータの読み書きを実現するデータベースです。ウェブサイトのページキャッシュやゲームのランキングデータなど、超高速な応答が必要な場合に使用されます。

インメモリデータベースの特徴
  • 超高速なデータアクセス
    • データを主にメモリに格納するため、ディスクベースのデータベースに比べて非常に高速な読み書きが可能です。
  • 低遅延
    • リアルタイムアプリケーションや高頻度のデータ処理に適しており、遅延が最小限に抑えられます。

各DBサービスの解説

①Aurora

MySQL/PostgreSQL互換のフルマネージド型のリレーショナルデータベースで、従来のMySQLと比べて最大5倍のパフォーマンスを実現し、自動スケーリングや高可用性を備えています。

①Aurora
メリット
  • Auroraは自動バックアップやマルチAZ配置を提供し、障害時にも迅速に復旧できるため、信頼性の高い運用が可能です。
  • オートスケーリング機能があり、トラフィックの増加に応じてデータベースインスタンスを自動でスケールアップ・スケールダウンできます。
  • 従来のMySQLやPostgreSQLに比べて最大5倍の性能向上が期待でき、高速なクエリ処理を実現します。
デメリット
  • 小規模なアプリケーションでは、コストが従来のリレーショナルデータベースに比べて高くなることがあります。特に大規模なトラフィックが発生する場合には注意が必要です。
「Aurora」の利用シーン
  • 高可用性が求められる
    • 障害発生時の迅速な復旧やデータの耐障害性が重要なアプリケーションに適しており、信頼性の高い運用が可能です。
  • スケーラビリティが必要
    • ユーザー数やトラフィックの急増に対応できる柔軟なスケーリングが求められる場合に、Auroraは特に効果的です。
  • 高パフォーマンスが要求される
    • 大量のトランザクションを迅速に処理する必要があるシステムや、高速なクエリ応答が求められるデータ分析環境に適しています。

②RDS

MySQL、PostgreSQL、MariaDB、Oracle、SQL Serverなど、複数のリレーショナルデータベース管理システム(DBMS)をサポートするマネージドサービスです。

②RDS
メリット
  • 簡単にデータベースをセットアップでき、数回のクリックでデプロイできます。パッチ適用やメンテナンスが自動で行われ、運用負荷が軽減されます。
  • MySQL、PostgreSQL、Oracleなどの多様なリレーショナルデータベースをサポートしているため、既存のアプリケーションとの互換性が高い。
デメリット
  • Auroraと比較するとスケールアップやスケールダウンの柔軟性が劣ります。また、Redshiftのようなデータウェアハウス機能はありません。
  • 大規模なデータ処理を行う場合、Redshiftの方がコスト効率が良いことがあります。
「RDS」の利用シーン
  • 一般的なリレーショナルデータベースが必要
    • トランザクション処理や複雑なリレーショナルデータの管理が必要な時に適しています。
  • 簡単な管理が求められる場合
    • データベースのバックアップやメンテナンスを自動化し、運用負荷を軽減したい時に適しています。

③Redshift

ペタバイト規模のデータを高速に分析できるフルマネージド型データウェアハウスサービスです。

③Redshift
メリット
  • ペタバイト規模のデータセットを効率的に処理できるため、大規模なデータ分析やビジネスインテリジェンスに適しています。
  • 列指向ストレージやデータ圧縮、並列処理により、複雑なクエリを迅速に実行でき、リアルタイム分析が可能です。
デメリット
  • RDSやAuroraと比較して、OLTP(オンライン・トランザクション処理)には適しておらず、主にOLAP(オンライン分析処理)向けです。

【OLTPとは?】

  • 日常的に行われるトランザクション処理のことで、データは通常、短いレコード(例えば、1行の注文情報)を中心にしており、更新や挿入が頻繁に行われます。

【OLAPとは?】

  • 主にデータ分析やビジネスインテリジェンスで行われるトランザクション処理のことで、大量のデータを迅速に集計・分析することが目的です。
「Redshift」の利用シーン
  • 大規模データ分析
    • ペタバイト規模のデータを効率的に分析し、複雑なクエリを迅速に処理する必要がある時に適しています。
  • DWH
    • 様々なデータソースからデータを集約し、分析目的で一元管理する必要がある時に適しています。
  • パフォーマンス重視のクエリ処理
    • 高速なクエリ実行とデータ処理が求められる場合。特に大量のデータに対する集計や分析処理に適しています。

④DynamoDB

ケーラブルで高パフォーマンスなフルマネージドのNoSQLデータベースサービスで、低レイテンシのデータアクセスを提供します。

④DynamoDB
メリット
  • フルマネージド型で、自動的にスケールアップ・ダウンが可能であり、高いトラフィックに対応できます。
  • NoSQLデータベースとして、スキーマレスでデータ構造が柔軟であり、様々なデータタイプを簡単に管理できます。
  • ミリ秒単位の高速なデータ読み書きが可能です。
デメリット
  • SQLベースのクエリがサポートされておらず、複雑な結合や集計が難しいため、分析用途には向いていません。
  • トランザクション管理機能がRDSやAuroraに比べて制限されており、ACID特性を持つトランザクション処理には向いていません。

【ACID特性とは?】

  • データベーストランザクションの信頼性を確保するための、以下4つの基本的な性質を表します。
    • Atomicity(原子性)
      • トランザクション内のすべての操作が成功するか、まったく実行されないかのいずれかであることを保証します。
    • Consistency(整合性)
      • トランザクションが完了する際に、データベースが一貫した状態を保つことを保証します。
    • Isolation(独立性)
      • 同時に実行されるトランザクションが互いに影響を及ぼさないことを保証します。
    • Durability(持続性)
      • トランザクションが成功した場合、その結果は永続的に保存され、システムの障害が発生しても失われないことを保証します。
  • 特に金融システムや在庫管理など、データの正確性と信頼性が非常に重要なシナリオにおいて、データベーストランザクションの整合性を確保するために不可欠です。
「DynamoDB」の利用シーン
  • 高いスケーラビリティが求められる場合
    • アプリケーションのトラフィックが急増しても、自動的にスケールアップ・ダウンできることが重要な場合に適しています。
  • 柔軟なデータモデルが求められる場合
    • スキーマレスまたは半構造化データを扱い、多様なデータタイプを簡単に管理できることが必要な場合に適しています。ユーザーの入力やセンサーデータなどが頻繁に更新される場合が該当します。

⑤ElastiCache

アプリケーションのパフォーマンスを向上させるためにデータをキャッシュするフルマネージドサービスです。

⑤ElastiCache
メリット
  • メモリ(RAM)にデータを補完しているため、データの読み書きが非常に高速であり、ミリ秒単位の応答が可能です。これにより、リアルタイムアプリケーションでのパフォーマンスが向上します。
  • 自動的にデータをキャッシュすることで、よく使用されるデータに対するアクセスを効率化し、アプリケーションの応答速度を向上させることができます。
デメリット
  • 主にキャッシュとして機能するため、データが失われる可能性があり、永続的なデータストレージには向いていません。
  • キャッシュされたデータがデータベースの実際のデータと一致しない場合があり、整合性が重要なアプリケーションでは注意が必要です。
  • キャッシュの更新や無効化戦略を設計する必要があるため、運用管理が複雑になる場合があります。
「Elasticache」の利用シーン
  • 低レイテンシー求められる場合
    • マイクロ秒単位の高速なデータ読み書きが求められ、リアルタイム性が非常に重要な場合に適しています。
  • データベース負荷の軽減が求められる場合
    • RDSやDynamoDBなどのDBサービスと組み合わせることで、クエリ負荷を軽減し全体パフォーマンスを向上させる場合に適しています。

DBサービスの活用例

構成①:Webアプリケーション(RDS, ElastiCache)

RDSとElastiCacheを組み合わせることで、データの永続性と高いパフォーマンスを両立したWebアプリケーションを構築できます。

RDSでしっかりとデータを管理しつつ、ElastiCacheを利用して迅速なデータアクセスを実現することで、ユーザー体験を大幅に向上させることが可能です。この構成は、特にトラフィックの多いアプリケーションや、迅速な応答が求められるリアルタイムシステムに適しています。

構成②:データ分析(Redshift)

Redshiftを活用したデータ分析基盤は、大量のデータを効率的に取り込み、分析するための強力なソリューションです。データソースからの情報を統合し、ETLプロセスを経てRedshiftに格納することで、迅速なクエリ処理とスケーラビリティを実現します。

この構成は、特にデータ分析やビジネスインテリジェンスを重視する企業にとって非常に価値があります。

構成③:IoTデータ処理(DynamoDB)

DynamoDBを活用したIoTデータ処理構成は、リアルタイムで生成されるデータを効率的に収集し、保存・分析に適した構成です。

この構成は、特にリアルタイムなデータ処理や分析が求められるIoTアプリケーションにおいて非常に価値があります。たとえば、スマートホームや農業管理など、データを迅速に活用することで、インサイトを得たり、アクションを起こしたりすることが可能です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次